相続例

相続例 その6
生命保険に加入しているケース

今回、母が亡くなり遺産を整理していたところ保険証書が数点見つかりました。受取人はすべて弟になっており、保険金額は合わせて6,000万円もあります。


実は生前から私は母と折り合いが悪く、母は弟ばかりをかわいがっておりました。母に反発し続けてきた私も悪いのですが、こういうタイミングで兄弟に差をつけていることを目の当たりにして、正直がっかりしています。


母名義の財産は、ほとんどが生命保険になってしまっており、それ以外の財産は預金や有価証券等で1,000万円しかありません。私はこの1,000万円を相続し、弟が生命保険金をもらうことになりそうです。生命保険金は受取人固有の財産で相続とは関係ないと聞いたことがあるのですが、この場合、相続税はどうなるのでしょうか?


また、私は私で、いざという時の葬儀費用等に充てるため、母を被保険者とする生命保険をかけていました。保険料は私が支払い、死亡保険金も私が受け取るという内容です。これも相続税の対象になりますでしょうか?

結論から申しますと、弟様が受け取られる生命保険金は相続税の対象となります。ご相談者様が受け取る生命保険金は相続税の対象にはなりませんが、ご相談者様の所得税の対象になります。


また、生命保険金の受け取りは確かに相続人の固有の権利となっており遺留分の減殺請求の対象にはなりませんが、今回のケースのように相続人間で著しく不公平になっている場合、一部を相続財産に持ち戻して計算しなおすことが可能になるかもしれません。この点は弁護士の先生にご確認ください。

相続税額の計算

相続財産は、生命保険金6,000万円とその他の財産1,000万円です。生命保険金には、相続税の計算にあたり、法定相続人×500万円の非課税枠があります。よって、課税される相続財産は、生命保険金6,000万円-500万円×2人=5,000万円と、その他の財産1,000万円の合計6,000万円になります。

  1. STEP.1

    相続財産が6,000万円、基礎控除が3,000万円+600万円×2人=4,200万円ですので、相続財産から基礎控除を差し引いた差引額は1,800万円になります。

  2. STEP.2

    1,800万円を法定相続割合で分割すると、ご兄弟が900万円ずつになります。

  3. STEP.3

    法定相続割合どおりに分割したと仮定した場合の相続税額は、ご兄弟様がそれぞれ900万円×10%=90万円ずつとなり、合計180万円になります。

  4. STEP.4

    実際の相続はご相談者様が1,000万円、弟様が5,000万円(非課税枠を除いた額で計算します)ですので、相続した財産の割合はご相談者様が1/6、弟様が5/6となります。

  5. STEP.5

    トータルの相続税額である180万円を、相続した財産の割合で按分してそれぞれの相続税額を計算します。

計算結果のまとめ

  所得税・住民税 相続税 税金の合計
ご相談者様 1,000万円 1/6 30万円
弟様 5,000万円 5/6 150万円
合計 6,000万円   180万円

所得税額の計算

相続税はこの通りですが、ご相談者様が契約されている生命保険は所得税の対象になります。死亡保険金を一時金でお受け取りになった場合は一時所得として、年金でお受け取りになった場合は雑所得として、いずれも所得税が課税される可能性があります。ここでは、死亡保険金を300万円、すでに支払った保険料の合計を240万円として計算します。


一時所得(一時金)の場合は、受け取った保険金から既に払い込んだ保険料を差し引き、そこから50万円を差し引いた金額を、さらに1/2にした金額が課税の対象となります。具体的には、
(300万円-240万円-50万円)×1/2=5万円が課税の対象となります。
この場合、この5万円を確定申告に含めて計算する必要があります。


雑所得(年金)の場合で、仮に5年間にわたって受け取るとした場合、課税の対象は
(300万円-240万円)÷5年=12万円となります。この12万円を5年間にわたり、確定申告に含めて計算する必要があります。

参考:相続税の速算表

相続税の計算には以下の速算表を利用します。この速算表で計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが相続税の総額になります。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

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